20Aug
江戸時代後期のベストセラー作家、滝沢馬琴(たきざわばきん)は読本『椿説弓張月』で書き残した一文です。
意味するところは、
人生はもともと辛いものだ。
幸運をつかむには相当の努力が必要。
幸せに気づかないこともあるし、
あってもなかなか実感しづらいもの。
そのわりに、わざわいは目につきやすい。
わざわいばかり、起こる気すらする。
といったところでしょうか。
実際のところ「福(しあわせ)」というのは気分なので、条件がそろっても感じ得たり、しなかったりします。
対して「禍(わざわい)」は目立ちます。ひとつかふたつしかまぎれていなくても、別の禍を呼び寄せる性質があるので、いつのまにか10や20にふくらんだりもします。
著者はそのことが言いたかったのだろうと推察するのですが、それにしてもこの『椿説弓張月』(”ちんせつゆみはるづき”と読みます)という読本は、口絵や挿絵が葛飾北斎が担当していたりと、かなりの力作。執筆期間11年、5編28巻29冊からなります。読むのもかなり苦労しそうですね。
さらに馬琴はあの『南総里見八犬伝』の著者としても有名ですね。こっちはさらに28年かけた超大作で、全98巻106冊もありました。いま読めるのは現代語訳版で、だいぶコンパクトにまとめられています。昭和40年世代以上なら、NHKの連続人形劇番組『新八犬伝』のファンだった人も少なくないと思います。
滝沢馬琴(本名:曲亭馬琴)氏はなかなかの苦労人、かつとても几帳面な暮らしをしていたようです。でなければ生涯で、これほどの大作をいくつも残せなかったでしょうね。
福はたしかに来きたし難いもの。
だからこそ、
しあわせはいつも自分のこころがきめる(相田みつを)し、ひとの長所が多く目につく人は幸せである(松下幸之助)だし、美しい景色を探すな。景色の中に美しいものを見つけるんだ(ゴッホ)ということなのでしょう。
きょうもよい1日を!
幸福感は自覚によるものです。
待っていればやがてやってくる
というものではありませんね。
福は来きたしがたくして、禍は招き易し。(滝沢馬琴)