きょうもよい1日を!

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きょうのひとこと

やさしくなるまでは、すべてのことが難しい

長い間、ひっそりとペルシアで眠っていた「アラビアンナイト」や「シンドバッド航海記」がいまのように世界で広く知られるようになったのは、アントワーヌ・ガランというフランス人学者の功績によるものです。17世紀のヨーロッパでは「東方」といえば、いまでいう中近東までが一般的で、そんな時代に「東方全書」の著述を受け継ぎ、西洋に紹介してきた人物なのでした。

そんなガラン氏の残した「きょうのひとこと」がこれ。

やさしくなるまでは、すべてのことが難しい。

やさしいを「易しい」ととらえれば「あたりまえじゃないか」と思ってしまうけれど、これが「優しい」ととらえると、まるで禅問答のように奥が深くなります。ぼくはこれを「寛容になるまでは、」と解釈します。つまり、受け入れられるようになるまでは、すべてのことが難しい。というわけですね。

とかく生きづらい世の中は、社会に寛容性が失われているからともいえます。なにをやってもダメ出しされたり、「べき論」で非難される。とくにネットで情報が拡散しやすい状況では、見ず知らずの人から責められることも多い。情報過多により正しいこととそうでないことがクリアカットされ、批判される材料にことかかない。という状況なのもそうだし、そんな中で暮らせば自分もまた他者への寛容性を欠いていく。お互いに窮屈な思いをする羽目に陥ることも考えられます。

あんがい、生きづらくしているのは自分自身だったりしますね。他者の悪口や世に恨みごとをもらすひとほど、また他者からもうらまれたり、うとましがられたりしがち。特に日本人は真面目すぎて、他人になにかをしてもらっても「ありがとう」といえず、つい「すみません」とへりくだるのも、どこか自分を窮屈にしている感じがします。ドイツ人の友人がかつて「日本人にプレゼントしたら、謝られた。受け取りを拒否されたのかと思ったよ」と言っていたのを思い出します。

ひとは受け入れられないから苦しみます。
よろこびも、かなしみも、批判も、賞賛も、負けも・・・

まずは受け入れ、それから対処する。対応を考える。
反射的に拒絶したり、反応したりしないで。

 

 

きょうもよい1日を!
ときに「忘れる」ことも
人生にとって必要だったりしますね。


やさしくなるまでは、すべてのことが難しい。(アントワーヌ・ガラン)

 

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