25Feb
かの織田信長を本能寺で討った明智光秀、その三女であり細川忠興の妻だった細川ガラシャ。かなりの美人だったといわれています。
その不思議な名前から察せられるとおり、彼女はキリスト教の教えに魅了され、洗礼を受けています。ガラシャとはラテン語で「恵み」という意味だそうです。
関ヶ原の戦いの直前、石田三成が彼女を人質に取ろうと屋敷を兵でかこませたとき、足手まといになるまいと、自ら家老に頼んで胸を突かせて死去。享年37歳でした。この時に詠んだ句がこれ、辞世の句と呼ばれるのはこのためです。
この句を知ったのはもう40年近く前になりますが、今でもしみじみと胸に浮かべてはよみかえすほど好きな句です。ぼく自身少なからず影響を受けていますが、この句の意味するところは、日本人が共通して持つ意識のようにも思えます。進むより退くこと。得るよりも捨てること。譲られるより譲ること・・
ひとは固執するし今あるものを守ろうとします。こうした習性に打ち勝つのはとてもたいへんなこと。だからこそ引き時や譲り時を見極め、心得ている姿は美しい。人が人としてたらしめているのはこういうときなのだと思います。
どこまでやるか、どうなったらやめるか?なにを始めるにせよ、引き際を決めておくことはとても大切ですね。
ともあれこの句には、
言い知れぬ清々しさがあります。
花も花なれ 人も人なれ・・
きょうもよい一日を!
始めるよりやめるほうがむつかしいぞ。
恋も事業も戦争も
散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ(細川ガラシャ)