6Mar
何におどろくって、
ここ数年の自動翻訳の進化には思わずため息がもれるほど。
テキストだけでなく、音声を同時通訳さながら字幕表示までしてくれます(Youtubeの自動翻訳)。長文だってあっという間に訳してくれます。英語はもちろんのこと、ロシア語、仏語、スワヒリ語・・・翻訳精度についてもどんどん上がっているようです。異言語による言葉の壁は、今後ますます低くなっていくことでしょう。
明治の文豪たちは、外来語をどう日本語に訳すかずいぶんと頭を悩ませていたようです。単純に単語を置き換えるだけでは文言としての意趣は通じません。まして、長い歴史観から培われた習慣に関することなどは、相当な想像力を要したにちがいありません。
I love you
この言葉が外国から輸入された当時、日本では相手に自分の好意を直接伝えることをあまり好まれていませんでした。遠回しに歌に詠んだり、そこはかとなく伝わるよう別の行為で示してきたわけです。わずか100年と少し前の明治時代においても。文豪、夏目漱石は”当時英語教師でした。授業中、”I love you”を「我君を愛す」と訳してきた生徒に対し「日本人はそんなことは言わない。月が綺麗ですね、とでも訳しておきなさい」と諭しました。
まるで花言葉のようです。なんて深いんだ、と。
同時期の翻訳家、二葉亭四迷などは”I love you”を「死んでもいい」と訳してました。これなどは、多感な人はいくら命があっても足らないような気がしますが、とにかく相手に好意を伝えるというのはとんでもないことだったんですね。
コンピュータの自動翻訳もたまにすごい訳しぶりに遭遇します。
それにしたって夏目漱石や二葉亭四迷には足元にも及びません。「月が綺麗ですね」を例にとってみても、とっさに出たとは思えないくらい、考えれば考えるほど深い意訳だと思いませんか? 情景がパッと目に浮かんできます。それがもう目にやきついて頭から離れないほどに・・
そんなわけで、
きょうもよい1日を!
ちなみにこのブログ、「多言語で読む」ボタンがページに装備されてるのに気づきましたか?100もの言語へ翻訳して読めます。クメール語やモン語に訳された「きょうもひとこと」もエキゾチックでいいものです。グルジア語の文字って、見るだけでなんだかなごみます。
月が綺麗ですね (夏目漱石)