17Apr

読書はするけど、小説はほとんど手にしないぼくも、フィリップ・マーロウのシリーズは好きで、読んでいます。
『大いなる眠り』『ロンググッバイ』『水底の女』・・著者であるレイモンド・チャンドラーの繰り出す、情景描写やフォーマットが大好きで、なんども読み返しては感心します。凡百の作家ならパラグラフ丸々ひとつ要する内容を、ひとつのセンテンスにきりっと集約させられるところに。
作品の随所に散りばめられたそんなセンテンスを集めた本がこのたび出版されたので、さっそく手に取りました。
作品をすべて読破していれば、そんなセンテンスをみただけで、たちまちストーリーの情景が思い出され、夢中になってページを繰った味わい深い時間がよみがえります。
また、単に名文集としても楽しめます。
こうした描写、視点、感じ方にふれるだけで、ふだん何気なく見過ごしている日常にある、さまざまなシーンに彩りを与えてくれる気がしてきます。
きょうのひとことは、この本でも紹介された『水底の女』作品にある、湖面をとりまく静寂さを表したセンテンス。小説を読んでいなくても、そのことが伝わってきそうですね。
きょうもよい1日を!
スマホもいいけど、紙の読書もね。
時が足音を忍ばせ、唇に指を当てて、しずしずと通り過ぎていった。(レイモンドチャンドラー『水底の女』)