3Mar
ベルリンで開かれたIT関連での
シンポジウムで発表されていた
ある台湾人の大学教授と食事を
したときのこと。
彼はぼくが日本人だと知ると
すぐに英語から日本語に変え、
紙ナプキンに
岡 村 寧 次
報 怨 以 徳
と、
8つの漢字を書き、
意味がわかりますか?
と問いました。
わかりません。と答えると
「岡村寧次」は
帝国陸軍の大将で、
「報怨以徳」は
恨みには徳をもって報いる
と答えてくれました。
なぜそんなことをいきなり?
そう思っていると、教授は
台湾で岡村寧次を知らない人はいません
当時の国民党政府は軍事裁判で無罪にし
彼は戦後も中国にとどまり、軍事顧問を
してくれました。
という。
岡村大将は中国大陸で100万人もの兵を
統率する日本陸軍の最高指揮官でした。
本来なら敗戦後、
死刑になるはずでしたが、
国民党軍は「恨みを徳で報いた」のです。
彼はそれだけ言うと
目の前の食事に手をつけ始め、
シンポジウムのことは一切語らず
ただ、ほとんどの台湾人は
日本人が好きですよ、とだけ言い残し、
席を立ってしまいました。
ぼくはしばらくテーブルの上にある
紙ナプキンをみつめながら、
狐につままれたような
不思議な気持ちになりました。
どうしてそんなことを初対面のぼくに?
それはいまもわかりません。
紙ナプキンはしばらく机の引き出しに
しまっていましたが、いつしかなくし
名刺も残っていません。
なにしろ、20年近く前のことです。
ただ、不思議と
「報怨以徳」
(怨みに報いるに徳を以てす)
の言葉はずっとあとに残り続け、
台湾人の友人がひとりできるたびに
この教授とのやりとりのことを話します。
岡村寧次?知らないです。
台湾人からそういわれるたび、
教授め!
と思う、きょうこのごろです。
台湾人でこれを見たかた
岡村寧次を知っていましたか?
・・・
話しがずいぶん脱線しました。
きょうもよい1日を!
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怨みに報いるに徳を以てす。(老子)